くらしと便り 価値と意味

知恵が詰まる食事

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「白菜はね、冬の間はこうやって保存するのがいいよ・・」

「あの山菜はこうやって食べるとうめぇんだ・・」

ここで生まれ育って生活を営む年配の方々と話をしていると、たくさんのことを教わります。

お米や四季折々の野菜の作り方や食べ方はもちろん、

保存食やみそ・お団子などの作り方や、

山菜の採れる場所や見分け方、

空の読み方、天気の見方、

すっごいものしり、というか、生活に基づいた叡智の数々です。


先日は、近所のおじちゃんに手作り薬草茶をいただきました。

杉、どくだみ、銀杏、くわ・・いろんな葉を夏の間に採り集めておいて、干して刻んで混ぜて、冬中に飲むお茶にしてるんだそうです。
井戸水を沸かし、それで淹れたというそのお茶は、とてもまろやかでおいしい。

自分の水筒に入っていたのはドリップしたおいしい(つもりだった)ブラックコーヒーでしたが、飲み比べると雲泥の差でした。

お茶だけじゃなくて、手作りの漬物や沢庵・お団子など、いただいた食材・料理もまた、とってもうまい。


今の日本、外国からの食材や多種多様な調味料など、手に入れようと思えばなんでも手に入ります。
遠くからコストをかけて特別な食材や調味料を取り寄せて料理すれば何だかんだでおいしいものができるのは、そりゃ当然といえば当然かもしれません。

一方、ご近所さんにいただくものは、そこらにあるとてもシンプルなものが材料です。

手作りのお茶、お漬物、沢庵、お団子、お酒、
そういったものには、一から作り上げる手間ヒマと、この土地の土や陽や風、それに、地域や家庭に伝わる“知恵”が詰まっています。

それはきっと味覚とはちがう感覚で感じるおいしさなんでしょう。
遠くからコストをかけて運んできてもなかなか感じることができないおいしさ。


ただ、そうした“知恵が詰まる食事”は、安くて早くて簡単な食事にとって代わられ、
また、受け継ぐ人も少なくなり、だんだんとなくなっていくみたい。

なんだか、さみしいなと思います。




2014-02-28 11.48.14





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 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。