やりたいことと求められること ローカルとグローバル

「田舎暮らし」、もう一つの側面

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2014-06-10 04.55.52

この、新潟の山奥での暮らし、よく「田舎暮らし」と言われます。

東京からここに引っ越してきて、「田舎暮らしがしたかったんだね」って、東京の人にも、ここ地元の人にも、なんとなく言われたりします。

自然がのどかで、時間がのんびりしてて、物価が安くて、家庭菜園でもやって、、それが“スローライフ”とか“自給自足の暮らし”とか言われて、人によってはあこがれの生活だったりします。

まぁ、実際そういうところもあって僕らも求めたのもあるし、それはそれでいいと思うけれど。


でも、僕がこの「田舎暮らし」に求めたい大切なことは、その“スローライフ”とか“自給自足の暮らし”の本当の意味です。


僕らがずっと暮らしていた都会の街は、24時間とまらず大量の人やモノや情報やお金が集まる(ように組み立てられてる)場であり、そこでの生活では、
知らずのうちに必要以上のエネルギーや食べもの、資源を消費し続け、住んでいるとそれが当たり前になり、身に染みこんでしまいます。
でもそんな当たり前、まったく“世界のスタンダード”なんかではありません。

例えば、「もし世界中の人たちが日本人のような暮らしをしはじめたら、地球は約2.4個分も必要」とのこと。
が、これは日本全体の値や平均の値を元に算出しているわけで、これを東京とこの山奥などの地域別に出してみたら、きっと東京の暮らしの値は平均をかなり上回っているのではないだろうか。

「もし世界中の人たちが東京のような暮らしをしはじめたら・・」、果たして一体、どのくらい分の地球が必要になるんだろうね。


また、僕たち日本人は、「たくさんの食べ物を捨てています。年間の食料廃棄量は1800万トンと、食料消費全体の2割以上。このなかには、食べ残しや賞味期限切れなど、食べられたはずの食べ物「食品ロス」が500万~800万トンも含まれています」。

「24時間いつでも食べたいというニーズに応じるため、はじめから廃棄を想定したうえで、大量仕入れや生産がされている」。

都市化につれて自給率は下がり、グルメなニーズが世界各国の多種多様な食を求めるあまり、日本人の食生活は6割を海外の生産に頼っていて、わざわざ遠くから多くのエネルギーをかけて運んできています。

それでも多くの輸入農産品が国産品よりも安いということは、それらを作っている各国の農家さんはどれだけ搾取されているんだか・・・。


さらに、近い将来「人口爆発」によって地球の食料が足りなくなる、なんて言うけれど、大量の食べ物を無駄にしているのは、24時間対応の“豊かな”食料事情だし (先進国の消費者は毎年、サハラ以南アフリカの全食料生産とほぼ同量の食料を食べ残しや賞味期限切れなどの理由で捨てている)、

そもそも、人口爆発を生んでいるのは、消費拡大・経済成長を押し上げる先進国、日本のそのあり方なんだということらしいです。

さらにさらに、そんな現実を覆い隠すような、“表面的”な途上国援助があったとしても、それすら結局は“強者”である先進国側の利益がなければ成立しないものが多い。


要するに、日本のような生活、中でも都会のような生活を続ける限り、世界や地球、未来に対して、2倍〜数倍の負荷をかけ続けるということ。

どんな立派な仕事をしても、どんなに世の中に貢献をしても、ただ日本で生きているだけで、です。

自分が、もし誰かに、自分の体力の2倍〜数倍の負荷をかけ続けられていたら、生きてなんかいけるものじゃない。


だから・・、

少しでもそんな負荷や犠牲を少なくしたいと思うんです。

経済発展や消費拡大で助かることも多いのかもしれませんが、そういうので助かるよりも、
ここの集落の人々がそうするように、長い時間の中でお互いに助けあって暮らす、
助ける側−助けられる側の関係、強者と弱者の一方向的な関係ではなく、互いに自然も一緒になってともに生きる、

そういうのがいいなと思います。

それに、子どもだって、自然の中で成長したほうがいいに違いありません。
子どものころの自然の中での原体験は、大人になってもずっと無意識のうちに残り、きっと自然を大切にしたいっていう心につながります。
でも、都会の中でずっと過ごした子どもは自然環境にあまり愛着もなく、大切にしたいともそれほど思わないんじゃないだろうか。
そういう子どもが増え、大人になって社会をつくるようになったら、世界はもう「人間のためのだけの世界」になってしまうでしょう。

なので、僕はここで試してみたいなぁと思います。

できる限り、

・過剰なエネルギーを使わないこと、
・都合のよい便利さとか安易な楽を求め過ぎないこと、
・物質的な生活にならず、昔からの知恵を受け継ぎ、今ここにあるもので生活をすること、
・子どもが幼少期から自然環境に親しむこと、
・地元で採れるその季節のものを食べること、
・自然の中で働くこと、
・自分たちのことだけでなく遠い国の友だちたちのことをいつも思い浮かべていること‥、

できる限りで、です。


そういう意味で、この田舎の生活によって、世界との関係性を見直し、つながりなおしたい、そう思うんです。

こういうところで生活できるのは、ある意味贅沢なことなのかもしれませんが、それは結局のところ、都会か田舎かという場所の選択ではなく、自分がどう生きるかという選択なんだろうと思います。



2014-06-26 11.18.46














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プロフィール

 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。