12月中旬からの3ヶ月半、僕を含めて15人、ほとんどが60歳以上のおじちゃん・おじいちゃんたちと一緒に働かせてもらっていました。
仕事はその15人を3つの班に分けて行いますが、僕らの班の“親方”(この辺ではリーダーのことを“親方”と呼ぶみたいです)は、70歳になるおじいちゃん。
よく「おい、わたなべくん!」と呼ばれて「はいっ!」なんて応えて、ほんと先生と生徒というか、おじいちゃんと孫のようなやりとりをしてました。
新入りの僕にとてもよくいろんなことを教えてくれて。
いや、教えてくれるっていうよりも、見せてくれることの方が多かったかもしれません。
なにせ、この親方、ベテランに見合わないようなどんなに小さな簡単な仕事でも、自分から率先してやるんです。
なので、それを見た僕ら班のメンバーたちは「親方もやっているんだからやらないと」と自ずと思い、その仕事をやるようになります。
で、僕らメンバーたちが動き出したら、親方はほどよいところで手をひいて、あとは任せる。
そんなふう。
なんともウマいというか、すがすがしい人の動かし方だなぁと思っていたので、打ち上げの飲み会の席で、酔っ払った勢い聞いてみました。
曰く、「そうすれば、みんなやるだろ」。
やっぱり。
親方は意図して、そうしていたんです。
“指示や命令”をして人を動かすのではなく、自分が動き“背中を見せて”人を動かす。
と、メンバーは、気づかずのうちに自ずから動く、そのうちに、そうやって仕事をすることを当然と思うようになる。
つまり、受動的にならず、能動的になる。
親方だからこそ、自分が座っていてはメンバーも安心して座ってしまう。
リーダーだからこそ、自分が率先して動けばみんなもついてくる。
親方は、別にカリスマ性があるわけではなく、頭が切れるとかいうわけではありません。
世間話が好きで、優しげなおじいちゃんです。
でも、そんなおじいちゃんの長い人生のいろんな経験の中でそういうリーダーシップを培ったんだろうと思います。
我らのチームは、全体の中でもベストパフォーマンスだったのではないかと思っています。
別に、比べたことはないし、比べることもできないし、比べる必要もないんだ(つまり、そんなに競うような仕事の内容ではまったくない・・笑)けど、
ただ僕は、みんなが率先して体を動かすチームの中に入れて、うれしい安心した気持ちで仕事ができたのは事実。
親方が背中を見せてくれていたおかげです。
そんな親方、今年でこの仕事を引退するそうです。
来年はもう見れないのかぁとさみしい感じがするとともに、