くらしと便り

背中を見せる“親方”

投稿日:


2014-04-01 12.13.59


先週、“冬のアルバイト”が終わりました。

12月中旬からの3ヶ月半、僕を含めて15人、ほとんどが60歳以上のおじちゃん・おじいちゃんたちと一緒に働かせてもらっていました。

仕事はその15人を3つの班に分けて行いますが、僕らの班の“親方”(この辺ではリーダーのことを“親方”と呼ぶみたいです)は、70歳になるおじいちゃん。

よく「おい、わたなべくん!」と呼ばれて「はいっ!」なんて応えて、ほんと先生と生徒というか、おじいちゃんと孫のようなやりとりをしてました。

新入りの僕にとてもよくいろんなことを教えてくれて。


いや、教えてくれるっていうよりも、見せてくれることの方が多かったかもしれません。

なにせ、この親方、ベテランに見合わないようなどんなに小さな簡単な仕事でも、自分から率先してやるんです。

なので、それを見た僕ら班のメンバーたちは「親方もやっているんだからやらないと」と自ずと思い、その仕事をやるようになります。

で、僕らメンバーたちが動き出したら、親方はほどよいところで手をひいて、あとは任せる。

そんなふう。


なんともウマいというか、すがすがしい人の動かし方だなぁと思っていたので、打ち上げの飲み会の席で、酔っ払った勢い聞いてみました。

曰く、「そうすれば、みんなやるだろ」。

やっぱり。

親方は意図して、そうしていたんです。


“指示や命令”をして人を動かすのではなく、自分が動き“背中を見せて”人を動かす

と、メンバーは、気づかずのうちに自ずから動く、そのうちに、そうやって仕事をすることを当然と思うようになる。

つまり、受動的にならず、能動的になる。

親方だからこそ、自分が座っていてはメンバーも安心して座ってしまう。

リーダーだからこそ、自分が率先して動けばみんなもついてくる。


親方は、別にカリスマ性があるわけではなく、頭が切れるとかいうわけではありません。
世間話が好きで、優しげなおじいちゃんです。

でも、そんなおじいちゃんの長い人生のいろんな経験の中でそういうリーダーシップを培ったんだろうと思います。



我らのチームは、全体の中でもベストパフォーマンスだったのではないかと思っています。

別に、比べたことはないし、比べることもできないし、比べる必要もないんだ(つまり、そんなに競うような仕事の内容ではまったくない・・笑)けど、
ただ僕は、みんなが率先して体を動かすチームの中に入れて、うれしい安心した気持ちで仕事ができたのは事実。

親方が背中を見せてくれていたおかげです。



そんな親方、今年でこの仕事を引退するそうです。

来年はもう見れないのかぁとさみしい感じがするとともに、

僕もいつか“親方”になったら、背中で見せてみたいなぁと思います。




2014-03-15 17.47.31















-くらしと便り

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プロフィール

 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。