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生命にとっては変化そのものが情報であり、変化の幅(差分)こそが、次の反応を引き起こす手がかりとなりうる。
たとえ一時はよい状態にあったとしても、放っておくとだんだんと無秩序になる方に進んでしまう。(エントロピー増大の法則)
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だとしたら、リスクを恐れて、変化の少ない安定を好むことは、逆に崩壊に向かうし、
現状の満足に執着したり、未知の変化の可能性を信じないことは、生きることの本質を排除してしまうことにつながる。
よりよく生きるためには、変化を恐れずに、自分自身で、手放したり、捨てたり、交換したり、作りなおしていくことが必要、ということかな。
遺伝子はダメなあなたを愛してる、福岡伸一、朝日新聞出版、2012年
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・彼らはこの地球の先住民です。森に棲み、朽ち木、菌類、他の生物の死骸、糞などあらゆるものを食べ、特殊な腸内細菌との共生を獲得してきました。ゴキブリは世界中に数千種類以上いますが、、、ずっと地球の生態系に寄与してきました。分解者として環境を浄化する一方、他の生物の餌となって地球の動的平衡を支えています。 10
・人の一生は短いものだ。荷物なんかで、わずらわされるのは、じつにつまらんことだ。、、、荷物なんてものは、ほんとに必要なものではなないのだよ。『ドリトル先生航海記』
・遺伝子は私たちに子孫を残せと指令しているのではなく、むしろこう命じているのです。自由であれと。51
・遺伝子そのものの有無ではなく、遺伝子の発現の仕方が、行動によって世代を超えて伝達されうるのです。これはエビジェノミックス(遺伝子そのものではなく、遺伝子を取り巻くしくみの変化、、)と呼ばれ、、、 77
・ボルボックスは、ある時は植物のように光合成し、細胞分裂で増えます。またあるときは動物のように行動し、有性生殖も行います。そして、単細胞が集まっただけの群体にみえますが、ちゃんと細胞間で連携プレーを行い、多細胞生物のごとくふるまう。ミクロなボルボックスの球体には、生命現象のすべての基本がつめ込まれているのです。81
・生命にとっての情報は「現れてすぐに消える」ことがもっとも重要なのです。、、それは生命にとっては変化そのものが情報であり、変化の幅(差分)こそが、次の反応を引き起こす手がかりとなりうるものだからです。85
・モノを捨て去ることは、かなりのエネルギーを必要とする営みなのです。、、、ところが、作ったものを捨てることのほうこそ、生物は一生懸命行っているのだということがわかりました。作る方法は一通りでしたが、捨てる方法は何通りもあり、多大なエネルギーを使って、生物は(より正確にいえば細胞は)せっかく作ってものを壊し、捨て続けているのです。 105
・分解には多大なエネルギーが必要となります。なぜ生命はこんなにも一生懸命、ものを壊し続け、捨て去っているのでしょうか。実はこれこそが生命現象を支え続け、何億年も永続させている秘訣だったのです。
私たちの宇宙はほっておくとすべてのものが乱雑に、無秩序になる方向へ進みます。、、エントロピー増大の法則です。生命現象もまたこの大原則に反することはできません。しかし崩壊を先延ばしにする方法を見つけたのです。それが壊される前に、自ら壊し、そしてまた作ることでした。
・DNDの過信は禁物です。何からなにまですべてDNAが決めているわけはないからです。たとえば私たちの身長、体重、健康状態、発症リスクなどは、多数の要因が複雑に絡みあって生じています。同じDNAでも違う結果を生むし、異なるDNAでも同じ結果を海うるのです。194
・つまり生命現象はやはり「氏より育ち」なのです。ましてや、能力、正確、進路の適正、あるいは犯罪傾向といった社会や文化的背景と切っても離すことのできない減少について、DNAの文字列から何かをいうことはほとんど不可能です。195
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