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「援助」への過信

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ミレニアム開発目標の2つの欠落。第一の欠落は、地球上の60億の人口のうち、50億の進歩を追求していたこと。もう一つの重大な欠落は、目標を達成する戦略、つまり援助を過度に強調していたこと。

重大な問題は、底辺の10億人。
罠にはまっていて抜け出せない。

《「援助」をだけ過信するのではなく、他のさまざまな“社会的手段を絡めて”、成長を後押しする必要がある》。

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『最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?』ポール・コリアー著、日経BP社、2008年
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・これまでの40年間の開発にまつわる課題は、10億人の豊かな世界と50億人の貧困の世界とのかかわりだった。しかし開発を概念化するこの方法は、2015年には明らかに時代遅れになっているだろう。世界人口の80%に当たる50億人の大部分は、実際は急速に開発が進んでいく国に暮らしているのである。14

・その一方で底辺にある国のグループは脱落しつつあり、時には崩壊している。これが開発の重大な問題点である。

・かつてはすべての社会が貧困だったが、今では大部分がその状態を抜けだしている。しかし、なぜそれ以外の社会は貧困に閉じ込められたままでいるのだろう。その回答は罠の存在である。貧困が本質的に罠なのではない。17

・ここでは開発をダストシュートと階段と考えよう。グローバル化する現代社会はとてつもなく大きい階段があり、大部分の社会はそれを利用して上に登っている。しかしまたダストシュートが存在していて、それに落ち込んでしまった社会もある。

・4種類の罠:紛争の罠、天然資源の罠、内陸国の罠、小国における悪いガバナンス(立法、司法、行政に及ぶ広義の統治)の罠 18

・そもそもグローバル化とは何か。開発途上国へのグローバル化の影響は、明確な三種類のプロセスを経る。一つは物品の貿易、2つ目は資本の移動、最後は人間の移動である。130

・公的資本はこれらの国が必要とするインフラは整備できるが、労働者が生産性を高めるための設備・機材は提供し始めることはできない。それは民間投資家だけが供給できるものである。東アジアのように成功した地域では、民間資本のほうが公的資本の二倍に達しているが、一方のアフリカでは公的資本のほうが二倍に及んでいる。アフリカなどの底辺の10億人の国で不足しているのは民間投資である。141

・ミレニアム開発目標には2つの弱点があり、どちらも焦点が欠落していた。
 第一の焦点の欠落は、ミレニアム開発目標が地球上の60億の人口のうち、50億の進歩を追求していたこと。
 もう一つの重大な欠落は、目標を達成する戦略についてである。 310
 底辺の10億人諸国の政府はそれぞれに成長に適した戦略を開発しなければならない。 
 援助を過度に強調するからである。そして目的が成長ではなく援助であるため、、、

・第一の命題は、現在私たちが直面している開発の問題が、過去40年のものとは異なっていることである。開発途上国およびミレニアム開発目標へと歩み続けている50億人のそれではない。それは閉塞状態にある国々のおよそ10億人の人々に関係する問題である。それこそ私たちが取り組まなければならないテーマ。312

・第二の命題は、底辺の10億人諸国では変化を成し遂げようとする勇敢な人々と、これを阻止しようとする強力なグループの間で、激しい抗争が繰り広げられていること。豊かな民主主義の穏やかで平穏なプロセスとは異なる。むしろ両極端のモラルの危険な抗争である。313

・第三番目は、私たちが傍観者であってはならないということである。私たちが変化を支援することが決定的な意味を持つだろう。
 援助に対して理性的なアプローチをするだけでなく、これまで開発のために武器にされてこなかった手段を駆使しなければならない。それは貿易政策であり、安全保障政策であり、私たちの法律の改正と新たな国際憲章の制定である。313

・要するに私たちはターゲットをしぼりこみ、手段を拡大する必要がある。313

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プロフィール

 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。