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未来に残るシステム、未来に残る方法

投稿日:2013年8月1日 更新日:


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たとえば、途上国の厳しい立場に置かれた子どもたちの自立を促すための、児童養護施設の運営(支援)という「プロジェクト」を、周囲の関係機関と連携させて、ある「プログラム」に位置づけられないだろうか?

達成目標は?指標は?評価者・評価方法は?数値で表すことができるようなプロジェクト立案方法。

未来に残るシステム、未来に残る方法とはどんなものだろうか?

『国際協力師になるために』山本 敏晴、白水社、2007年
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・途上国で技術移転として育てた現地スタッフが、技術を得たと同時に、給料の高い海外に働きに出てしまった。16
・未来に残るシステムとしての援助とは何か?

・GNPをてっとり早く上昇させるもっとも良い方法は、開発途上国の中で、すでに大企業を運営しているようなお金持ちに、さらにお金を渡し、新たな事業を展開してもらうこと。43

・短期的に援助効果をあげようとするならば、貧困ラインのすぐ下にいる、すでに文字が読める人たちに対して職業訓練をして働き始めさせればよい、ということになる。一方、小学校にすら行っておらず、文字も読めない人には、初等教育の十年間くらいがまず必要であり、そこから職業訓練などをする必要がある。
こうして、本当に、究極の貧困の人たちは、見捨てられることになる。49

・貧困ギャップ率という指標。50

・世界の貧困削減対策の変遷 62
 1)貧困対策のため、途上国にお金を出して、それだけで満足していた。
 2)途上国のGNPをあげようとしたら、途上国の金持ちばかりが儲かった。 
 3)貧困層の人々に狙いを付けられるように、貧困ラインなどの指標を作った。
 4)一つの指標ではダメだとわかり、複数の指標の併用が始まった。
 5)貧困層のターゲティング、プロジェクト実施にかかる予算を、包括的に考えた。
 6)いくら経済を発展させても、貧富の差の拡大をおさえないと、意味がないことがわかった。
 7)教育や医療を行い、貧困層の人々が選択できる(未来の)可能性を提供しようとした。
 8)女性、少数民族、障害者などの人権にも配慮することが重要とわかった。
 9)途上国側に自主性をもってもらい、それに援助機関たちが協力する体制を作った。
 10)世界の持続可能性に配慮し、公害の防止や、資源の枯渇にも配慮してもらうことにした。
 11)これらをまとめあげた、世界的な計画の一つとして、ミレニアム開発目標を作った。

・「プロジェクト」とはある一つの小さな計画を指す。「プログラム」とはいくつかの小さなプロジェクトが集まってできた大きなもので、複数の団体で行うことも多い。 91

・医療系の国際援助プログラムでも、医療の専門家だけでなく、さまざまな専門家が必要なのだ。94
・これが、国際協力。人間の力を結集していく作業だ。94

・3つの立場の人が必要。考える人、つなぐ人、やる人。95

・現地スタッフの雇用と扱い方 101
 1)査定(事前調査)
 2)目標設定、その達成期間の設定
 3)サイト(活動場所・範囲)の設定
 4)ロジスティック(物資の調達と運搬)
 5)事務所の創設(借り入れ、購入、建設)
 6)スタッフ募集の方法
 7)ジョブ・ディスクリプションの作成
 8)スタッフの給料の決定
 9)毎日の仕事の指示
 10)毎週のフィードバック
 11)一ヶ月ごとの目的説明と結果報告
 12)安全維持のための情報入手
 13)数ヶ月目に起こる、不正の防止 
 14)イスラム教と、五回の礼拝、断食月
 15)家庭に招待、結婚式
 16)時間を守らない
 17)物品購入の方法
 18)現地文化の尊重
 19)外国人不信
 20)現地スタッフの評価

・家庭に招かれたり、結婚式によばれた時に、行くかどうかの問題。行くと仲良くなる、が、これはほどほどにしないといけない。「国際協力」をしに行った場合、現地の人と仲良くすることが目的ではなく、その地域の人々全体のために、目的とした「指標」を改善するために活動を行うのだ。108
 慣れ合いがうまれて、不正を起こしやすくなる。また、個人的な商売を手伝ってしまうことにつながってしまうこともある。

・プロジェクト・マネージメント 115
 「綺麗ごと」だけをいうのでなく、「数字で結果」を出さなければならない。
 そのためには、実は最初の段階から、それを意識したプロジェクト立案が必要。
 
・本格的な国際協力を行う場合、統計学は必須の学問。128

・緊急医療援助から「未来へ続く方法」への移行 215
 一時的な自己満足になってしまうのではないか?そうならないためには、現地の人々に対する教育を行い、現地人の医療や看護師を育成することが必要だと思った。

・教育コンテンツ「世界に目を向ける子どもたちの育成」。222

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 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。