『モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか』、ダニエル・ピンク、講談社、2010年
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(1)モチベーション2.0 「外発的」
「報酬の隠された代償」66
・アメとムチは悪しき好意を助長し、依存をうみだし、長期的視野をないがしらにした短絡的思考を促す恐れがある。81
・外部から課せられた目標が、何にもまして重要な場合-とくに、短絡的で計測可能な目標であり、それが達成されれば大きな見返りが得られるとき-には、自らの行動について視野を広げて考えることができなくなる。
・一度交換条件付きの報酬が与えられたら、似たような仕事に直面したとき、エージョントは再びそれを期待し、プリンシパルは報酬を繰り返し利用せざるを得なくなる。88
・アメとムチの致命的な7つの欠陥
1、内発的動機づけを失わせる。
2、かえって成果があがらなくなる。
3、創造性を蝕む。
4、好ましい行動への意欲を失わせる。
5、ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長する。
6、依存性がある。
7、短絡的思考を助長する。
・ルーチンワークに対しては、報酬は有害な副作用を伴わずに、モチベーションを少しばかりあげる役割を果たせる。97
・ただし、外的な報酬が予期せぬものであり、業務がかんりょうしたあとにそれを伝えれば、次回の仕事の成果をもう少し向上させられるかもしれない。102 「思いがけない報酬」を与えればよい。103
・外発的動機づけの7つの致命的な欠陥を避ける最善の方法は、外発的動機づけを完全に避けるか、次の内発的動機づけの3つの構成要素を強調すること。《自律性》《マスタリー》《目的》
(2)モチベーション3.0 「内発的」 ― 新しいオペレーティング・システム
・人間には生来、(能力を発揮したいという)有能感、(自分でやりたいという)自律性、(人々と関係を持ちたいという)関係性という3つの心理的欲求が備わっている。109
・3.0は・・
・生まれながらに備わっているのでなく、後天的に作ることができる。
・ほとんどの場合、2.0をしのぐ成果をあげる。
・金銭や他者からの評価を軽視しているわけではない。
1)自律性
・人間の本質を覆い隠されたままにしておくのではなく、表面化させる。
・他人を管理したいという誘惑に屈せず、深く根ざした自律性の感覚をあらゆる方法で呼び起こすこと。
・優れたマネジメントとは、子どものころにあった人間の先天的な能力、すなわち「自己決定」の復活が必要。
・4つの基本要素:以下の4つを確実に任せることが目的に至る早道。
①課題(タスク)
「自分の作ろうとするものは自分で決める。」
課題設定を、自分で選択した自分の限界に応じて、自分で行う。
②時間(タイム)
自分の時間の主導権を自分で握れるようにする。
③手法(テクニック)
仕事のやり方については、自分で決められる。
④チーム
自主的に組織されたチームで働く人は、既存の組織内のチームで働く人よりも、満足感が得られる。
2)マスタリー(熟達)
・マスタリーとは、何か価値があることを上達させたいという欲求。160
・スキルのもっと上位にある“価値”を習熟すること。それは何かを確実に探し、設定すること。
・「フローの状態」 ゾーンに入っている状態。
・月並みな体験とはまったく異なるレベルの集中と満足感。
・もっとも満足できる精神状態
・目標がはっきりしている。
・やらなくてはならないこと、できることの相関性がぴったりと一致する。自分に最適化された仕事の対象(ゴールディロックス)を行いつつ。
・マスタリーは、マインドセットである。
「固定観念観」でなく、「機能拡張観」へ。
3)目的
・自分以外の「より大きな目的」に結びつけられたとき、極めて強く動機づけされる。191
・目標:
3.0の企業とは、利益を目指すのでなく、利益を触媒として「目的」の達成を目指す企業のことである。
・言葉:
名誉、真実、愛、正義、美、平和、持続可能性、のような深淵で魂を揺さぶるような言葉を使う。人間味あふれることば。198
・指針:
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