価値と意味 本と花

いのちとこころと

投稿日:



いのちの森の台所


頭で認識する“考え”や“計画”や“先入観”や“目に見える姿”に惑わされるのでなく、
“こころ”で、目の前の人や食材の“いのち”を感じ取り、受けとめ、受け入れ、尊重し、
その“いのち”を生かし、育もうとすること、
それから、その“いのち”が真に求めているものをさり気なく差し出すこと、
それはつまり、自分の“こころ”を差し出すこと。

それが、ともに生きるということ、なのかな。


食べることも、料理することも、人と出会うことも、耳を傾けることも、
すべては、そのものを“いのち”として観ることからはじまる。

そういう眼差しをつねに持つことができますように。


いのちの森の台所』、佐藤初女、集英社、2010年
=======================================

・私は、自分からあまり話さないで、聴くことを大事にしております。先入観を持たず、自分の中を空っぽにして、その方の身になり、心を置き換えて、一心に耳を傾けるのです。

・癒やしとは、自らの気づきによってこころを解放したときに得られるものだと思うのです。人は確かに“受けとめられた”“認められた”と思えると、心底安心するんです。すると、こころに落ち着きを取り戻して、自分を見つめなおし、自ら解決策を見つけていきます。19

・食材のひとつひとつには、かけがえのない“いのち”が宿っています。・・食べるということは、そんな食材のいのちをいただいているということなんですね。21

・食はいのち、食材もまたいのち。だからこそ、食は生活の基本なんです。21

・みんなが食べていくスイカはなくなっていったように思うけれども、私たちが食べて、私たちのからだに入って、一緒に生きていくんだよ。24

・食材をモノとしてとらえるか、いのちとしてとらえるかによって、調理の方法も変わってきます。いのちとしてとらえたときには“これを生かすにはどのようにつればいいだろう”と考えます。生かすということは育てるということと同じですから、慈しむように育むように調理することになります。25

・人のために働く場合は、まず、なにがこの人のためにできるだろうと考えることが大事です。つい自分の考えで推し進めたくなりますけれど、自分がいいと思うことをやるばかりでは、往々にして反対のけっかになりがちです。こころとこころを通わせ、ひとつひとつ考えながら、その人が真に求めているものを、さり気なく差し出してあげるのが、本当に与えることになります。

・緻密に計画を立てていても、そのようにいかないことのほうが多いもの。人間の計画や知恵なんて浅いものです。そんなことに思い煩うよりも、今、ここの足元をしっかり踏みしめて大事にしていったほうが、私は確実だと思う。64

・今を生きるということは、今出あう人、ひとりひとりを大切にして、小さいと思われることも大事にしていくことです。64

・「奉仕のない人生には意味がない。奉仕には犠牲が伴う。犠牲の伴わない奉仕は真の奉仕ではない」66

・私にはお金もない、特別な技術もなにひとつありません。私に何ができるのでしょう。ふとひらめいたのは、“私にはこころがある”。こころならくめども汲めども尽きることはありません。こころならいくらでも差し上げることができます。そのことに気づき、大きな歓びに満たされました。

・みなさんがここにいるのも、私がここにいるのも、ただいるのではなくて、出会いから出会いへとつながって、今ここにいるように思います。簡単にここに来ているのではなくて、ここに来るまでにいろいろなことを通して、お会いしていると思います。私たちのやっていることはすべて出会いの中でいただいているのです。87

・人のために何かするということは、どこか出かけていかなければできないことではありません。大切なものは実は身近にあります。 93

・受け入れて、受け入れられて、ともに生き、生かされることで、みんなが幸福に向かうのではないでしょうか。110

・相手の話されることは、とにかく自分の考えをなくして聴きたいと思うんですね。その人のつらい思いに寄り添うようにして、そのまま聴くようにしております。111

・人のこころはとても深くて、そんなに簡単に理解することはできないと思うので、受け止めるだけにしたいと思ってます。教えたり、諭したたりでなく、どこまでも共感しながら、相手の気持を素直に受けとめる。その人が話されないことは質問もしません。自分に置き換えて聴くようにしています。112

・食材を大事にしながらつくる、その気持ちがイライラも和らげてくれます。食べ物を大事にする人は、人も大事にします。126

・“今”“ここ”から目をそむけるのでなく、大きくこころを開いてみれば、どんな状況にあっても喜びを感じられるものです 171

・静かに座って手を合わせる祈りを“静の祈り”、行動することは“動の祈り”ではないかと思っています。

・アメリカのテロ事件があったときのこと、「祈りましょう」といったのですが、とても心配で祈れる状態ではないという。だったら、おむすびをにぎりましょう、ということになって、みんなでおむすびをにぎったところ、とっても落ち着いたんですね。「祈れないからおむすびをにぎったのではなく、にぎったそのことが祈りなんですよ」とお伝えしました。

・私もたびたび悩んだり迷ったりしますけど、それを切ってしまわないで、苦しい時にはその苦しみをじゅうぶん受けるようにしています。中途半端に頭で考えて自分で解決しようとしないで、苦しむときはじゅうぶんに苦しみます。自分の頭で考えたことは、現実にはそのようにいかないことが多いんですね。だからとことん苦しんで苦しんで、自分の力ではどうにもならないときに、おまかせの状態になるんです。そのときに、苦しみから這い出していくように思います。

・苦しみから這い出していくときは、自分で好きなものをやるんですよ。私は、“手のこと”をやります。料理や裁縫や、それもそのときいちばん手数のかかるものをむきあってやっていきます。

・いのちをいただく
 今朝もふっくらおいしそうに 炊き上がった ごはんが輝いている 一粒一粒が呼吸している 毎日はおろか何十年も 食べているのに飽きもせず 食べるたびに新鮮な気持ちで 味わえる幸せを かみしめ今日も感謝で生きる 佐藤初女

=======================================

Error: Failed to retrieve data for this request.

-価値と意味, 本と花

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

トラクターの速度のように

お米の収穫が終わったここ最近は、来年のための田んぼづくりをしています。 耕耘や代かきという作業。初めて、トラクターという重機を操作させてもらっています。 たくさんの雪が降って春の訪れが遅いこの辺りでは …

未完成を先送りし続けながら

僕たちは、人間の個性や社会性という色眼鏡をとおして、ものごとを理解したり、測ったり、判断したりしているけれど、 人間の、生物としての元来的な成り立ちや仕組み・働きを見直したとき、 いろいろなことの本質 …

「山」も「谷」も自分でつくってる

生きている中で起きる、山あり谷あり=良いときと悪いとき、のお話。 「山と谷はつながっている。今日の順境で過ちを犯せば、明日の逆境をつくり出す。そして、今日の逆境で賢明なことを行えば、明日の順境をつくり …

今日、今、決めるべきことは何か?

いろんな決断の仕方を意図的に使い分けたい。 まずいのは、決断のタイミングを逃すこと、 もっとまずいのは決断自体をしないこと。 「きょう決めることは何?」という問いとリストがあるといいな。 『決断力 ( …

きっと世界はすばらしい。

========================= 今は幼くて泣いている赤ちゃんたち、 きっとこの子たちは、これからたくさんの事を学び、 私なんかよりもずっとずっと立派な、すばらしい人間に育っていく・ …

Photo Gallery

プロフィール

 わたなべまさゆき

 新潟県在住。
 2012年の秋に東京から移転して来ました。
 現在、生活基盤構築中、農業研修中です。